アメリカの大学へ入学を考える多くの方が直面する疑問が、最初から四年制大学へ行くのが良いか?それともコミュニティカレッジ(通称コミカレ)に行くのが良いか?という点です。
- コミカレの入学って留学生に良い点がたくさんあるって聞くけど、実際どうなんだろう?
- コミカレから本当に四年制大学へ編入ができるの?
- 四年制大学に直接入学した方が就職に有利なのでは?
- 日本で大学を卒業したけれど、今からコミカレ入学ってあり?
そんなみなさまから多く寄せられる疑問にお答えすべく、こちらの記事でコミュニティカレッジの留学のメリットについて詳しくご説明していきます。
- 目次 -
そもそもコミュニティカレッジって何?
アメリカにはおよそ4,000校ほどの大学があり(認定を受けていない大学を含めると4,500校強)、4,000校のうち1,200校ほどがコミュニティカレッジ、通称コミカレとなります。
コミュニティカレッジは州によって運営されている公立の二年制大学のことを指します(ちなみに私立の二年制大学はジュニアカレッジと呼ばれます)。
学部プログラムを修了すると短期大学士(Associate Degree)の学位が授与されます。
コミュニティカレッジの役割は大きく2つに分かれています。
四年制大学への編入プログラム
四年制大学への編入を目的とした、2年間で基礎強化中心の一般教養科目を履修し、文系準学士号(Associate of Arts=A.A.)または理系準学士号(Associate of Science=A.S.)を取得するプログラムです。
コミュニティカレッジの多くは四年制大学との間で単位認定制度または2+2(四年制大学に3年生として編入することができる)編入協定を結んでいます。編入先の大学によって単位移行の基準は多少異なりますが、基本的にはコミュニティカレッジで取得した単位は編入協定を結んでいる大学では学士取得のための必要単位として認められます。
職業訓練プログラム
四年制大学への編入を目的とせず、卒業後すぐに就職する学生に向けて実践的なスキル・技術を身につけさせ、社会で発揮できるよう作られたプログラムです。
職業訓練プログラムは2年間の商業・技術プログラムを修了した場合に授与される応用科学系準学士号(Associate in Applied Science=A.A.S.)と、学位取得を目的とせず1年~1年半の間に特定の職業の技術や知識を学ぶ修了証プログラム (Certificate Program)があります。
修了証プログラムについては特定の分野でのキャリアアップを目指せることから、日本ですでに大学を卒業している方に近年人気のプログラムです。コミュニティカレッジによっては修了証プログラムでも、最長12ヶ月間学んだ専攻分野に関連性のある職種にて最長1年間の企業研修を受けることができる制度であるOPT(Optional Practical Training)の申請が認められます。
▶留学後に有給インターンシップができる “OPT” って知ってる?
コミュニティカレッジで学ぶメリットは?
入学基準が緩やか
入学基準 | 四年制大学 | コミカレ |
---|---|---|
評定平均値 (GPA) | (4段階) 2.5~ | 不問 |
英語スコア | TOEFL iBT 61~ | TOEFL iBT 45~ |
その他 | SAT、ACT、エッセイ、推薦状など が必要になることもあり | 高校卒業資格がなくても可 |
四年制大学への入学で必ずクリアしなければならないのが評定平均値(GPA)です。一般的な四年制大学入学に必要なGPAは4段階評価で2.5以上と言われており、名門と言われる大学であればあるほど必要なGPAは高く設定されています。
留学生はTOEFLなどの英語力試験のスコアも要求されますが、一般的な大学でもTOEFL iBT 61以上、GPAと同様に名門大学であればあるほど必要な英語試験のスコアは高く設定されています。中学~高校で英語を学んできただけの一般的な日本の高校生や大学生、または社会人の方が簡単に取れるスコアではありません。
また、名門大学になるとGPAや英語スコアは出願条件の足切りの意味合いが強くなり、SATやACT(大学入学のための学力試験)のスコアやエッセイ、推薦状などの内容で多数の出願者から合否が決まる傾向にあります。
一方、コミュニティカレッジは全ての人に教育を与えるという理念のため、留学生においては規定の英語スコアを提出できればどなたでも入学できる仕組みになっています。規定の英語力についてはTOEFL iBT 45から入学可能な学校が多くなり、四年制大学に比べ必要スコアは低めに設定されています。
また上述の理念のため、コミュニティカレッジによっては18歳以上であれば高校卒業資格も不要です。高校卒業資格はなくとも準学士号を取得すれば、四年制大学への編入も問題ありません。
▶アメリカの大学に進学・留学する方法:入試・英語力・GPAについて
学費が安い
コミュニティカレッジは州によって運営されている公立カレッジのため、州在住者においては学費が無料であることがほとんどです。留学生を含む州外から入学する学生においても、四年制大学に比べとても安く設定されています。
一例として、日本人留学生に最も人気のカリフォルニア州のコミュニティカレッジと四年制大学の年間学費目安をご覧ください。
コミュニティカレッジ(例:サンタモニカカレッジ) | $9,264 |
州立四年制大学(例:カリフォルニア州立大学ノースリッジ校) | $16,542 |
州立四年制大学(例:カリフォルニア大学ロサンゼルス校) | $47,052 |
私立四年制大学(例:南カリフォルニア大学) | $66,640 |
四年制大学の学費は大学によって差がかなりありますが、コミュニティカレッジの場合はほとんどの大学が年間$8,000~$10,000ほどと、大きな差はありません。
四年制大学への編入を考えている場合、最初から四年制大学に入学するのと比べ2年間の学費は半分以下にできる可能性が高いです。アメリカの学生ビザはキャンパス内で週20時間までのアルバイトしか認められませんので、学費を大きく削減できるのは嬉しいポイントですね。
丁寧で細やかな指導
コミュニティカレッジは入学時に学力が問われないため、様々な学力タイプの学生が在籍しています。そのためチューター(個別指導)制度などの学習サポートが充実しているのが特徴です。
また四年制大学では一般教養などの必須科目のクラス人数が100~200名など大人数になることが一般的ですが、コミュニティカレッジではそのような大きなクラスはほとんどなく、少人数クラスで勉強することでアメリカでの授業形式に早い段階から慣れていくことができます。
難易度の高い大学への編入を目指すことができる
これは意外と思われるかもしれませんが、コミュニティカレッジは四年制大学への単位互換制度が整っているため、コミュニティカレッジで良い成績を収めることができれば難易度の高い大学へ入学できる可能性が上がります。
実際に名門大学であるカリフォルニア大学バークレー校では、編入学生の合格率は25%、それ以外の学生は17%というデータが出ています。同校が毎年受け入れている約5,000名の編入学生のうち、95%がカリフォルニア州のコミュニティカレッジからの編入生とのことです!
参考:UC Berkeley Transfer Acceptance Rate, GPA, and Requirements
そのため高校の成績が振るわず1からやり直したい、頑張りたいと思う方にも難易度の高い大学を目指せるチャンスがあります。
コミュニティカレッジのデメリットはないの?
誰もが四年制大学に編入できるわけではない
コミュニティカレッジは上述のとおり四年制大学への編入プログラムだけでなく職業訓練プログラムも提供していることから、最初から全ての方が四年制大学への編入を目指して入学をしているのではありません。
四年制大学への編入プログラムに入学する場合もトップ大学への編入を目指せるかどうか、そもそも大学を問わず四年制大学に編入ができるかどうかはコミュニティカレッジでの成績次第です。各大学が要求するGPAをクリアしないかぎり出願すらできませんので、良い成績を収められるよう日頃からの努力がとても大切です。
またコミュニティカレッジの入学基準は緩やかなことから、最低限の英語力で入学し授業についていけず四年制大学の編入を断念した、という方も少なからずいるのが現状です。英語スコアが学校の求めるレベルのギリギリである場合、学部入学前に付属英語コースや私立語学学校で授業についていくための英語力をしっかり身に着けることを強くおすすめします。
学生寮がない場合がほとんど
コミュニティカレッジは地域住民の学びの場として運営されていることからアメリカ人の多くは自宅から通学しているため、学生寮がない場合がほとんどです。そのため留学生は最初の1学期目にホームステイをしながらシェアアパートなどを探す方法が一般的です。ホストファミリーの許可が出れば滞在を延長することもできますので、家がなくなってしまう!という心配はほぼいりません。
最新設備、最新の教育という面ではどうしても4年制大学と比べ劣る
大学によって異なるため一概には言えませんが、四年制大学の多くの教授は博士号を保持しています。四年制大学の学費がそもそも高い理由は、最新の質の高い教育を提供するための教授への給料・研究・設備投資に費用がかかるためです。
コミュニティカレッジは全ての人に教育を与える理念の基、地域の税金で運営されていることもあり、最新の設備・教育という面ではどうしても四年制大学に比べ劣る部分があります。ただし学費の高い四年制大学のとても優秀な教授が学生への面倒見が良いかどうかは全く別問題ですので、コミュニティカレッジで熱心な面倒見の良い教授を見つけることもできるでしょう。
学びたいことがはっきり決まっていて、より質の高い教育を受けたい、そのためにはお金がかかるのは構わない方(かつGPAも英語力もクリアしている方)は最初から四年制大学を目指すのがおすすめです。
奨学金の獲得が難しい
奨学金システムについても各コミュニティカレッジで異なりますので一概に言えませんが、コミュニティカレッジは元々低価格の学費を提供していることもあり、奨学金をあまり出していない傾向にあります。奨学金が出るとしても一部免除であることがほとんどで、全額免除は残念ながらほとんどありません。
ちなみに留学生が対象となる奨学金は学生の能力に基づいて給付される「メリット・ベース」と呼ばれるもので、これまでの学業成績やスポーツや文化活動などで優秀な成績を収めているかどうか、つまり大学側がお金を払ってでも獲得したい活動をしてきたかどうかが獲得のポイントとなります。
▶アメリカの大学に進学する際、奨学金を獲得することはできますか?
コミカレ留学体験談
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コミカレ留学よくある質問
四年制大学への編入プログラムで学ぶ内容は一般教養だけ?
上述のとおりコミュニティカレッジの編入プログラムは基礎教科中心の一般教養科目がメインとなりますが、専攻の基礎科目はコミュニティカレッジでも学ぶことが可能です。
異なる州の四年制大学へは編入できる?
編入先の四年制大学についてはコミュニティカレッジと州が異なっていても可能です。実際に州外の四年制大学と編入協定を結んでいるコミュニティカレッジも多くあります。
しかし編入制度自体は州ごとに整えられているため、コミュニティカレッジ入学前から目指したい四年制大学がある程度決まっている場合はその州のコミュニティカレッジに行くのがスムーズです。
コミカレ卒業に2年半かかってしまったため、四年制大学入学まで時間が空いてしまった!一時帰国するしかない?
学生ビザのルール上、四年制大学編入を含む学校の転校は在籍している学校のコース修了日から60日以内(グレイスピリオド内)に行う必要があります。
例えばコミュニティカレッジの卒業が12月で編入先の四年制大学への入学は翌年8月を予定している場合、上述のOPT制度で企業研修を行うことにより一時帰国せずともアメリカに滞在することも可能です。ちなみにOPTは学位取得ごとに申請できますので、四年制大学卒業後にも再度申請をすることができます。
コミカレで就学することにより、就職に不利になることはない?
就職先は最終学歴で決まりますので、コミュニティカレッジから四年制大学へ編入したからといって就職に不利になることはありません。
就労ビザ取得を目指したい方は、H-1Bビザ(特殊技能職ビザ)の場合は学士号(Bachelor Degree)以上の学歴が必要となりますので、日本またはアメリカ以外の国で学士号をお持ちでない方はアメリカで四年制大学を卒業することで将来の可能性が広がります。
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留学生の受け入れに積極的で日本人留学生から人気のカリフォルニア州、ワシントン州についてはおすすめコミュニティカレッジ特集を掲載しています。
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